奥利根地方の山神信仰から生まれた木彫り人形「水丁彫・山精」

今回は、上州沼田・藤本水丁(奥利根民芸研究所)氏による木彫りの郷土玩具「山精」を紹介します。

水丁彫・山精様(さんせいさま)

群馬県北部の奥利根地方の山神信仰における山精様をモチーフとした郷土民芸玩具です。この地方の山仕事に携わる人々が災難よけとして、木彫りの人形が作られ、十二様に奉納していました。しかし、明治初期頃にその風習が廃れてしまいました。

そして、昭和の中期に沼田市の藤本水丁(奥利根民芸研究所)氏によって復刻されたのが、郷土玩具としての水丁彫・山精です。そして、それはこの地方のお土産人形として販売され、人気を博していました。


現在は作者がお亡くなりになられた為に新品としては入手できないようです。しかし、以前に比べだいぶ流通数が減ってきていますが、ヴィンテージの郷土玩具としてとしてはまだ入手の機会はありますので、ぜひ手に入れてみてください。とても可愛らしい木彫り人形です

山神信仰としての山精様の由来

この地方に伝わる昔話によると、そこで暮らす木こりが大事にしていた一本松が落雷で燃えてしまったそうです。そして、その木こりは焼け残った幹を十二様(群馬県北部の山の神)の分霊として祀り松の霊を慰めました。

ある冬の雪の日に、木こりが裏山にある炭焼き小屋を見に行こうとすると、あの分霊として祀った松の幹に目と口が浮かび上がり「炭焼き小屋に行ってはいけない。家に帰れ」と言われたそうです。

木こりは大変驚き、もう一度よく見てみると目と口は消えていました。そうこうしているうちに雪が激しくなってきたのでので木こりが家に帰りました。
そして、家に帰ると先程までいた小屋のほうで大きな雪崩が起きました。

命拾いをした木こりは松が自分を守ってくれたのだと感謝して、松の木に目と口を象った人形を作り、山精様として祀りました。その話を聞いた村の人々も同様の人形を祀り、それ以来、山で遭難する人はいなくなったそうです。

今回は群馬県の郷土玩具「山精」様のお話でした。最後までお付き合いくださいありがとうございました。