今回の記事では、栃木県の郷土玩具や益子焼等の伝統工芸品を紹介していきます。
栃木県の郷土玩具
栃木では、日光のミニチュア茶道具(挽物細工)、うずまの鯰、ふくべ細工、の州のてんまり(手毬)、火防獅子、きびがら細工、黄鮒(張子)、木彫りの眠り猫や三猿などの郷土玩具や佐野土鈴、碁盤鈴、ばんな寺の鬼鈴、唐沢山神社の三つ俵などの授与鈴が作られています。
日光の挽物細工・豆茶道具や眠り猫・三猿
日光の豆茶道具

木工のロクロ細工の鑑賞用ミニチュアの茶道具です。素材には栃やケヤキなどが使われます。明治初期頃から木地師の余技として作られてきました。
日光彫の眠り猫

日光東照宮の回廊にある装飾彫刻である眠り猫をモチーフとしています。
三猿

見ざる・言わざる・聞かざるの木彫りです。
栃木市のうずまの鯰と火防獅子
うずまの鯰

巴波川周辺の地域に伝わる民話から生まれた玩具です。しゃもじのような板を2枚合わせ、紐で結び作られます。
火防獅子

太平山神社に伝わる『火防の獅子』をモチーフにした民芸玩具です。阿吽の2体一対になっています。
鹿沼市のきびがら細工
きびがら細工

鹿沼市の特産物である「鹿沼箒」を作るときにでる余りの草を再利用した玩具です。青木行雄さんによる考案で干支や鶴亀、飾り馬などがあります。
宇都宮の黄鮒・ふくべ細工
黄鮒(張子)

全長10㎝程度の張子です。この地方に伝わる伝説から生み出された縁起物の郷土玩具です。
天然痘が流行した時に黄色い鮒を病人に与えたところ回復したという伝説が残っています。
瓢箪(ふくべ)細工
種を取り除いた夕顔(ふくべ)を乾燥させ、その天然の形状を利用し、炭入れや花器、お面等に加工した民芸品です。物小川昌信さんにより考案されました。
十二支や「瓢箪から駒」のことわざから生まれたもの、また、この地方に伝わる「下野伝説」の百目鬼をモチーフにした怪奇なお面や雛人形などがあります。
栃木の土鈴
佐野土鈴

佐野赤天神や龍神風神の他、250種以上も種類があるそうです。
その他にも山口壬三さんによる「堀米人形」や足利市の大日尊の鬼鈴、宇都宮二荒山神社の授与鈴等があります。

栃木の伝統工芸品

国指定
栃木では「益子焼」と「結城紬」の二つが指定されています。
益子焼

江戸時代末期に大塚啓三郎氏が益子に窯を築き創始されたと伝えられています。主に民衆のための雑器が作られました。その後、「濱田庄司」氏や「バーナード・リーチ」氏によって全国的に知れ渡るようになりました。
昭和54年指定。
昭和期に活躍した陶芸家
- 濱田庄司
- 島岡達三
- 木村一郎
- 村田元
- 佐久間藤太郎
- 濱田晋作
- 須藤武雄
※昭和の中頃までの作品には陶芸家の窯印がない場合が多い為、「濱田庄司」氏の作品には多くの偽物が存在しています。
2020年の現在でも、某ネットオークションに出品されている作品を見ると、その多くには問題があるようです。また、近年では「島岡達三」氏の作品に、多くの偽物が混じるようになりました。やはり、きちんとしたショップで購入する事をお勧めします。
結城紬
室町時代の末期に「結城紬」の名称が生まれ伝承されてきました。真綿から手で紡いだ糸を使用して昔ながらの織機で織られます。
昭和52年に伝統工芸品に指定されました。また、平成22年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
陶磁器
小砂焼

小砂の大金彦三郎氏によって窯が築かれ創始されました。金色を帯びた茶黄色の金結晶や辰砂の作品などが作られています。
みかも焼
鉄分が多い土が使われます。素朴で温かみのある作風が特徴です。
木工芸・竹工芸
宇都宮の挽物
ケヤキ等を材料とした挽き物細工です。ロクロを用いて挽かれた木地に生漆塗を施し作られます。椀や盆、菓子器などが作られています。
今市の挽物
江戸時代末期の創始とされています。桑や桜、欅や栃、槐材などが使われ、木目を生かした湯呑や菓子器、花器などが作られています。
日光彫

江戸時代初期に東照宮造営のために集められた彫物大工が、仕事の余暇に彫ったのが日光彫の起源と伝えられています。
宇都宮の曲物細工
ケヤキや杉を薄い板に加工し、湯に浸け柔らかくしてから横曲、縦曲の技法を用いて形を整え成形されます。
日光指物
けやきや柿、栃等の板や角材を組み合わせて「矧合せ」「相欠き」「柄組」等の技法を用いて作られます。狂いが少なく、また木目が美しいのが特徴です。
那須の篠工芸
江戸時代から農業の副業として、那須高原で育った「篠竹」の柔らかさを利用して作られる竹工芸です。農作業用のザルやカゴ等が作られます。
その他には、「鹿沼の組子」「下野水車」「日光下駄」「日光ミニチュア茶道具」「家紋帳箪笥」「栃木の樽」「桐下駄」「鹿沼の総桐箪笥」「市貝の箕」「大田原の竹工芸」などがあります。
金属工芸
天明鋳物

佐野市周辺で作られている鋳物工芸です。その歴史は古く、10世紀ごろに創始されたと伝えられています。また、鎌倉時代にはこの天明鋳物の作品が日本各地で使われていたことが文献等により分っています。
重厚で荒々しいながらも美しさを兼ね備えた作風が特徴の工芸品です。
その他には「黒磯の出刃物」「茂木の出刃物」が作られています。
染物・織物
- 徒然草にも登場し鎌倉時代より伝わる足利の「草木染」
- 藍、紅、茜が特徴の寛政年間に創始された「益子草木染」
- 文化文政期に創始の「黒羽藍染」
- 江戸時代創始の「宮染め」
- 草木染の糸を丹念に手織りしてつくられる「行庵手織」
- 明和、安永年間に考案された無双織の技法による「解し織」
- 江戸時代後期に真岡晒として隆盛を極めた「真岡木綿」
その他の工芸品
- カエルや灯籠で知られる「大谷石細工」
- 室町時代にはすでに神社仏閣の造営に用いられていた「芦野石細工」
- 宇都宮市内でつくられている「野州てんまり」
- 江戸時代初期より伝承されてきた「佐野衣装着雛」「佐野節句掛軸」
- 江戸時代からの技法を受け継いでいる「大畑家の武者絵のぼり」
- 家内安全の魔除けとして知られる「栃木鬼瓦」
- 天保期より続く「鹿沼箒」
- 「都賀の座敷箒」
- 江戸時代に藩主の名により創始された「和弓用矢」
- 宇都宮で作られている「三味線」や「琴」
- 8世紀の創始されたと伝えられている「烏山手すき和紙」
- 元禄時代に創始された、杉の自然の香りが特徴の「杉線香」
- 「野木の石仏」
- 小山市の「間々田紐」
- 江戸時代からの伝統を受け継いできた「佐野武者絵のぼり」
以上が今回の記事「栃木県の郷土玩具や伝統工芸品」についての記事でした。
