ねぶた祭りで知られる青森県は郷土玩具の種類も豊富です。
今回の記事は、そんなねぶた祭りにまつわる玩具や日本三駒のひとつに数えられる八幡駒など、素朴でありながらも力強さを兼ね備えた青森の民芸品を紹介していきます。
青森県の民芸品の種類と特徴
青森県で作られている(いた)民芸品には、青森市の手びねり人形や張子、木彫りの猿乗り八幡駒(共に福原英次郎さんによる作品)や灯玩具の金魚ねぶたなどがあります。
また、弘前市周辺では、勇壮な武者絵が美しい扇灯篭を小型化した扇ねぷたや津軽凧、木彫りの弘前馬コがあり、その他にも種類が豊富な下川原焼の鳩笛や人形笛、津軽系こけしや工人さんによるずぐり独楽が等が作られています。
そして、八戸市では古くから名玩で知られる八幡駒や豊年祈願の祭事で使用される被りものであるえんぶりの烏帽子や八戸のくけまり(手まり)などが作られています。
福原英次郎さんによる青森人形(廃絶)
青森人形は昭和の初期から1970年代の後半まで、青森市の美術骨董商であった「福原英次郎」さんによって作られていた自由で奔放自在な人形です。

手びねりの土人形や張子の飾り馬、木彫りの猿乗り八幡馬が作られていました。独特の色彩と型のない自由でユニークな作品でした。廃絶が惜しまれます。
灯玩具の金魚ねぶた
ねぶた祭りにちなんだものとして灯玩具である金魚ねぶたがあります。大きさは大体30㎝程度です。十文字に組んだ木の土台の上部に竹ひごを金魚の形に組み上げ和紙を張った灯篭です。彩色は全体を赤で塗り模様がつけられます。大きさは大体30㎝程度です。
弘前の扇ねぷたと津軽凧
弘前市のねぷた祭りを飾る扇灯籠を小型化したものです。勇壮な武者絵が見所で、こちらも金魚ねぶたと同様に灯玩具になっています。作者は「大瀬勝弘」さん。始まりは不詳ですが戦前から作られていたそうです。
津軽凧は勇ましい武者絵が描かれた凧です。普通、凧といえば竹ひごで骨組みを作りますがこちらヒバ材で組みます。竹の育たない地方ならではのアイデアです。
※雑談ですが、青森市では「ねぶた」、弘前では「ねぷた」と呼ばれるそうです。
ルーツは奉納玩具の神馬「弘前馬コ」
元々は黒石の木馬と呼ばれていた神社に奉納するためにつくられていたもので、車輪を付けた台座に取り付けられていました。実際に子供を乗せて引く事ができるくらいの大きさだったそうです。
そして一度、途絶えてしまったものを「宮川勉」さんが昭和24年に復興されました。ノミひとつで作る素朴な木馬で、大・中・小の3種類のサイズがあります。
下川原焼の鳩笛・人形笛・土鈴
鳩笛にはピンクで絵付けされたものと白のみの彩色の2種類があります。

この下川原焼の中でも圧巻なのが人形笛と呼ばれる5~6㎝程度の小さな土笛です。その種類は70種以上もあるとか。
その題材は鯛えびす等の縁起物、子守などの風俗、その他、童話や伝説など様々なものをモチーフとしています。
八戸の八幡馬
日本の三駒のひとつに数えられる、八戸の八幡馬。古くから名玩として知られてきました。

昔は周辺の集落で農閑期の副業として作られ、9月14-15日に櫛引八幡宮で行われる例大祭で売られていました。
くけまり
古布や屑布を利用して作られてきた「くけまり」と呼ばれる手まりがあります。昔は各家庭で作られてきましたが、現代では老人会などでその伝統を受け継ぎ作られているようです。
青森の独楽とこけし
青森県では津軽系と呼ばれるこけしが継承されてきました。他の系統ほど決まった型は無いものの、ダルマ絵やねぶた絵など独特のこけしが作られています。

また、それらの工人さんによるずぐり独楽があります。青森の独特の挽き物細工で、窪んだ形状の中にさらに独楽を挽き、二重、三重にもなった独楽です。
そしてその彩色はこけし同様に青森独特の模様が描かれます。
青森の郷土玩具ギャラリー
青森土人形 イナリ 下川原土鈴 鬼 ダルマ絵こけし 青森の木地玩具ダルマ 鳩笛(白) 八幡駒(赤)
今回は、青森県の郷土玩具についての記事でした。最後までお付き合いくださりありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう。